ヴァンタン・二十歳の誕生日
何時も母の傍にいた。
母一人子一人。
それが当たり前だった。
お互いの寂しさや苦しさを分かち合うために。
でも私は我が儘だった。
母の痛みにも気付いて遣れず……
なんて親不孝なん娘だったのだろう。
私は泣いていた。
自分が情けなかった。
母の傍に居ながら、何も気付かす笑っていた。
何時も母の傍にいながら……
パパの記憶のない私は家族のことも知らず……
母に甘え続けた。
何も知らず、何も考えず、それが当たり前だと思っていた。
(ママー、ごめんなさい)
私は魔法の鏡の向こう側にいるはずのママに向って謝った。
ふと目を外すとチビは其処でまだ寝ていた。
私は仕方なく、パパの元へ抱いて運んだ。
「頼もしいな」
パパは笑っていた。
「ん……? パパ?」
あれ程までに起きなかったチビがパパの笑い声で起きていた。
(えっ!? 流石パパだ。あの硬い甲板の上でどんなに揺さぶっても起きなかったチビが……)
私は苦笑しながらこの親子対面を喜んでいた。
これが私の望んでいた光景だったのだ。
そう。
だから危険を承知で此処に来たのだった。
操舵室の窓に満月が見える。
その光が私のクロスペンダントに当たる。
「それはパパの……」
パパはそう言いながら、自分の首にあったお揃いのペンダントを外した。
「はい。これはキミの分だよ」
パパはクロスペンダントをチビの首に掛けた。
パパから貰ったお揃いのクロスペンダント。
今二人の胸に輝いた。
でもそれはパパとのお揃いでらなかった。
チビと私、二人だった。
(そうかだから何時も身に着けていたんだ。でも何故で貰ったかも忘れていた。そうか! 解った。此処で貰ったんだ!)
私はハーフパンツのポケットに入れていた手鏡を思い出した。
私が魔法の鏡をねだった時にパパが買って来てくれた物だった。
でもパパは私の手鏡を見た時、同じように鏡を取り出した。
お揃いとでも言うのだろうか?
それは同じ図柄の合わせ鏡だった。
「パパ……パパが魔法の鏡だって言って渡してくれた手鏡。本当はあれで良かったの」
私は二つの鏡を合わせてみた。
「この鏡は何処に置いてあった?」
「チビ……ううん私の部屋だけど、」
妙なことをパパは聞くなと思いながらも私は素直に答えた。
タイムスリップした時、確かにチビの枕元に置いてあったからだ。
母一人子一人。
それが当たり前だった。
お互いの寂しさや苦しさを分かち合うために。
でも私は我が儘だった。
母の痛みにも気付いて遣れず……
なんて親不孝なん娘だったのだろう。
私は泣いていた。
自分が情けなかった。
母の傍に居ながら、何も気付かす笑っていた。
何時も母の傍にいながら……
パパの記憶のない私は家族のことも知らず……
母に甘え続けた。
何も知らず、何も考えず、それが当たり前だと思っていた。
(ママー、ごめんなさい)
私は魔法の鏡の向こう側にいるはずのママに向って謝った。
ふと目を外すとチビは其処でまだ寝ていた。
私は仕方なく、パパの元へ抱いて運んだ。
「頼もしいな」
パパは笑っていた。
「ん……? パパ?」
あれ程までに起きなかったチビがパパの笑い声で起きていた。
(えっ!? 流石パパだ。あの硬い甲板の上でどんなに揺さぶっても起きなかったチビが……)
私は苦笑しながらこの親子対面を喜んでいた。
これが私の望んでいた光景だったのだ。
そう。
だから危険を承知で此処に来たのだった。
操舵室の窓に満月が見える。
その光が私のクロスペンダントに当たる。
「それはパパの……」
パパはそう言いながら、自分の首にあったお揃いのペンダントを外した。
「はい。これはキミの分だよ」
パパはクロスペンダントをチビの首に掛けた。
パパから貰ったお揃いのクロスペンダント。
今二人の胸に輝いた。
でもそれはパパとのお揃いでらなかった。
チビと私、二人だった。
(そうかだから何時も身に着けていたんだ。でも何故で貰ったかも忘れていた。そうか! 解った。此処で貰ったんだ!)
私はハーフパンツのポケットに入れていた手鏡を思い出した。
私が魔法の鏡をねだった時にパパが買って来てくれた物だった。
でもパパは私の手鏡を見た時、同じように鏡を取り出した。
お揃いとでも言うのだろうか?
それは同じ図柄の合わせ鏡だった。
「パパ……パパが魔法の鏡だって言って渡してくれた手鏡。本当はあれで良かったの」
私は二つの鏡を合わせてみた。
「この鏡は何処に置いてあった?」
「チビ……ううん私の部屋だけど、」
妙なことをパパは聞くなと思いながらも私は素直に答えた。
タイムスリップした時、確かにチビの枕元に置いてあったからだ。