蒼空に奏でる詩
「今日は葉山君です。
私を庇って怪我しちゃって……」
私がそう言えば、先生は診察するために椅子の所へ葉山君を連れて行く。
「葉山、痛いのはどこ?」
「……左手の人差し指と中指」
先生に尋ねられたら、葉山君は素直に答えていた。
私は怪我が心配で、側に立ちつつソワソワしていた。
「あーあ、何でやってすぐに来なかったんだ。
これは長引くかも知れないぞ?」
先生のその言葉に葉山君は顔をしかめる。
「え~、先生なんだから治してよ」
「私は医者じゃないんだよ!」
先生はそう言いつつクルクルと器用に包帯を巻いていく。