愛と涙と、ぬくもりと。
隣のアイツ。
柴咲 恵梨香(しばさき えりか)15歳。半年前中高一貫校の中学生から高校生になった私には、好きな人がいる。
それは、隣の席のアイツ。
平沢 遥希(ひらさわ はるき)。陸上部でお調子者のアイツは、いつもみんなの真ん中にいた。
そんなアイツとは対照的な私。
敵を作らないよう、静かに暮らしていた。それなりに友達もいて、人望はなかったわけじゃない。ただ、人前に出ることはどうしても得意になれなかった。
私の取り柄と言えば勉強ぐらいだろうか。
とにかく対照的だったわけだ。
そんなアイツと私は同じクラスになるや否やなんとなーく意気投合し、仲良くなった。メアドを交換して、ほとんど毎日くだらない会話をしていた。
私にとっては気兼ねなく話せる数少ない男子になった。
アイツにとって私がその他大勢だとしても、私は嬉しかった。
この頃からだろう、私が遥希に惹かれ始めたのは。