愛と涙と、ぬくもりと。
20分ぐらいで、平沢は帰ってきた。



目の周りが赤い。
涙を堪えているのかもしれない。



…目が合う。



「あ…」



「ふ、ら、れ、た」



私たち以外にも人がいたから、口パクだったけど、アイツは確かにそういった。


平沢は笑った顔のままだったけど
言った瞬間、涙が目に浮かんだ。



「そっか…。」



これ以外の言葉が出てこなかった。



なるべく平沢の顔を見ないように私は荷物を抱えて教室を出た。
聞こえない声で
ごめんね、とつぶやきながら。
< 16 / 26 >

この作品をシェア

pagetop