愛と涙と、ぬくもりと。
下駄箱で智恵とばったり会った。



「アイツ、泣いてたよ…。本当に好きだったんだよ、智恵のこと。」



「わ…かって…る…っ」



目を伏せる智恵の顔は真っ赤で、涙を堪えるのに必死だった。



やっぱり好きだったんじゃない。
あんな顔するなら、振らなきゃよかったのに。
智恵が決めたことに、私は口出し出来ないけど…。



その日私が分かったこと。
それは二人の気持ちがそれほど強かったということ。
平沢は智恵を想い、智恵は平沢を想って泣いた。
私が智恵の代わりになれる日なんて、来るの…?
そんな日はきっと来ない。



だから私は



自分の恋を捨てた。
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