MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
エピローグ・・・だから、新婚旅行(幸せのレイサイド)
飛行機を降り、入国すると。
案の定、凄い数の取材陣が待ち構えているとの情報が入った。
受賞したのは将なので、別行動をしようと思ったが、将が離してくれない。
「通訳の必要はもうないでしょ?」
取材が面倒なので、逃げる口実にそう言った。
だけど、敵もさるもので。
「え、俺たち一心同体だろ?まぁ、一生この手を離す気はないしね。」
そう言って私の手をぎゅっ、と握り直す将。
「はいはい、じゃー、レイちゃんも将と一緒でインタビューよろしくねー。スーツケースはこっちで回収しとくから。」
私がじたばた抵抗を試みているのに、木村さんにあっさり流された。
もうっ。
「あ、木村さん。結局、記者会見どこでやるの?俺たち、いつ家に帰れるの?」
将が、私の手を拘束したまま木村さんに質問した。
そうだ!弁慶!!
「あー、疲れてるだろ?だから、会社に報告しに行くのも面倒だろうし。青山華道会館かりたから。で、社長始め、青山先生んとこスタッフ全員集合ってことで。今まだ10時だし、昼前に青山先生んとこ入って、16時から記者会見にしてるから、少しその前に休めるし。で夜はそのまま祝賀会。」
・・・何か、これって。
フランス行きを阻止された夕真さんの希望に沿った形のような…。
「なんだよ、完全に夕真ちゃんの希望だろ、それ。」
将もため息をついた。
「いや、でもありがたいんだよ。実のところ。うちの会社じゃ記者会見はできてもくつろげないだろ?」
確かに、夕真さんちには将の部屋もあるし、ご飯も作ってもらえるし。
確かにいたれりつくせりだし、そうだ!!弁慶だって連れていける!!
私は慌てて携帯を取り出し、戸田にワンワンホテルに預けている弁慶を連れてこい、と頼んだ。
将と歩き出し、暫くすると。
物凄い数の報道陣が待ち構えていた。
一般の人に邪魔にならないように、自然と将が足早になる。
「おめでとうございます!」
「おかえりなさい」
マスコミ陣の言葉があちこちからかかる。
それに口数少なく笑顔で応える将。
長年の習慣とは凄い物で、自然とキャラにスイッチがはいるらしい。
さっきまでの新婚旅行はどうなるんだ、とゴネていた子供っぽい男はどこへいったんだ?
なんて、その子供っぽさにヤラれている私は、そんな将を他の人に見せたくないと思っているくせにと、自分に心の中で突っ込む。
今回、仕事が多忙で物理的に難しいと思っていたが、やはり同行してよかった。
お互いの過去もさらけ出せたし、それでより一層わかりあえたと思うし。
何よりも将の受賞を目の前にして、一緒に感動できた。
将を助けることもできた。
そして何よりも、完全に素の自分を見せることができた・・・。