MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
★神田一矢のため息
はあ。
やっぱ、俺は仲良し先輩どまりか…。
一度フラれた城田レイにリベンジしようかと思ったが、あっさり2度目も気持が届かなかった。
前に一度、城田に聞いたことがある。
「何で、俺じゃお前の恋人になれねーんだよ?俺だったら、お前泣かせねーけどな?」
城田に長年心に秘めていた気持ちを告ってあっさり振られた後。
城田の彼氏が国家試験に落ちて、うっぷん晴らしかどうかわかんねーけど、バイト先のモデルの女と浮気したとしり落ち込んでいる城田に、思わず聞いた。
城田は即答した。
「神田先輩は私のタイプじゃないです。」
浮気されて落ち込んでいる女が、生意気な事を言った。
「顔だけじゃないだろ。男は。」
「確かに顔だけじゃないですけど。」
「俺たち、気ィあうじゃねーか。」
「気はあいますね、確かに…。」
「じゃあ、何なんだよ?何でダメなんだよっ!?」
段々イライラして、つい声が大きくなってしまった。
城田が俺の大きな声にため息をついた。
そして、俺のまん前にやってきて。
ちゅ。
え?
え??
ええええええええ!?
何故かいきなり城田が俺の唇に触れるキスをしてきたのだった。
はっきり言って腰が抜けた。
スゲー嬉しい。
だけど、次の言葉で、俺はがっくりと突き落とされた。
「やっぱり、ダメだ。」
「え?」
「感じない。」
「何を?」
「だから、神田先輩とのキス。何か…一緒だった、感覚が。」
ちょっと嫌な予感がしたが。
気になったので、きいてみた。
すると。
「なんか、神田先輩とキスしたら、マウストゥマウスみたいになっちゃて。」
「はっ!?」
「うん、キスって感じじゃなかったな…。」
城田のスゲー所は。
こういうところだ。
俺が喜んだ、城田レイとのキスは…どうやら城田にとって。
マウストゥマウスで。
キスとしてカウントされなかったらしい。
きっと、その感覚は、今も同じなんだろうな…。
ってことは、俺が何度告っても。
無駄って事だよな。
はあ。
明日は、城田の結婚式だ。
あの、天下の抱かれたい男とのキスには感じるのか…?
あー、想像したら空しくなってきた!
はあ。