MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
あれから二週間余り、ゆまはずっと機嫌が悪い。
とりあえず、あの場所ではゆまを初め、葉山に頭を下げて必死に謝り、将くんにも、電話を入れた。
将くんは怒るかと思ったが、怒ってはいなかった。
必死で謝る俺に。
「菊弥先生、大丈夫です。これをきっかけに、俺もレイとの関係をはっきりさせますから。逃がしませんから。俺マジなんです。誰になんて言われようと、レイを俺のものにします。」
穏やかだけど、真剣な声で将くんがそう言った。
ゆまを好きだとごねていた将くんとは、別人のようだ。
大人になったんだ。
そして、城田さんが本当に好きなんだと言う気持ちが伝わってきた…って!
げ。
将くんたちってまだ恋人じゃなかったんだ。
しかも、よく聞けば、将くんの隣の部屋で、一緒に住んでるわけじゃなくて。
戸田さんが、どうしても自分と繋がりを持ってほしくて、遠慮する城田さんが戸田さんの部屋を借りざるを得ない状況を作るために、鎌倉中の不動産屋とホテルに手をまわしたらしく。
結局住むところも、泊まる所も確保できなくて…。
「だけど、あのレイがよく将くんを頼ったよな…。多分、いつものレイなら迷わず、野宿してたと思う…。将くんがいてくれて助かったよ。」
「「「「「「「「「」えええ、野宿っ!?」」」」」」」」
皆驚愕の声を上げた。
葉山がため息をつく。
「レイは、筋金入りの意地っ張りだから。いつも痩せ我慢ばっかりして。心配でしょうがないんだ。だけど、俺と会うときは、いらないって言いながら、俺のプレゼントした服をいつも着てくれて…。本当に、あまのじゃくで、可愛い妹なんだよ。」
そう言って、葉山は見たこともない優しい笑顔で微笑んだ。
だから、城田さんはベリー・Bの服を着ていたんだ。
完全な誤解だった。
タバコだって…聞けば、ヘビースモーカーらしいのに、我慢して…庭に出て吸っていた所に、ゆまが自らよって行った状況だった。
しかも、携帯用灰皿を使って汚さないように、マナーを守っていた。
彼女に非はない…。
はあぁ。
俺がもし、同じような事を言われたら、どうしていただろう…。
「レイちゃん、菊弥が酷い事を言っても、初対面の私に赤ちゃんの心配してくれたんだよ?」
そうだった…俺ならできない。
心の底から、真剣に反省した。
人生初、かと思うほど。