MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
❤瀬野将のため息②
はあああ。
落ち着かない。
芝居では、何度も結婚式の衣装も着て、式も挙げているのに。
実際は、全くその経験が活かされないとはどういうことだろう。
今日は、俺とレイの結婚式。
本当はレイの誕生日の1月28日にしようかと思ったんだけど。
…俺が我慢できなかった。
だって、28日っていったら、ほぼ1ヶ月だろ?もう、1日だって待てない気分なのに、1ヶ月なんて、俺無理だと思って。
で、年明けて直ぐにした。
よく元旦から式ができたなって思うけど。
ここは、夕真ちゃんと菊弥先生が昔結婚式を挙げた教会だ。
東京なのに、まるで森の中にひっそりと佇むような小じんまりとした雰囲気のある教会。
やっぱり、ここにしてよかった。
今朝、婚姻届はレイと2人で出してきたから、もう俺たちは正真正銘の夫婦だけど。
何か、実感がわかない。
レイのウエディングドレス姿を見たら、実感できるかもしれないけれど、俺の涙腺がヤバいことになりそうなので、新婦入場まで我慢しようとおもっている。
だけど、綺麗だろうな。
綺麗で、格好いいんだろうな。
はあ、ダメだ。
落ち着かない。
散歩でも行くか。
教会の周りは雰囲気のある、ちょっとした森だ。
少し外の空気でも吸ってこよう。
教会の玄関を出て、裏手にまわった。
ここなら、人目につかないし、ベンチもある。
ベンチに腰を下ろし、俺は空を見上げた。
雲ひとつない、晴天。
世間では、今日は元旦で。
「明けましておめでとう。」
って、言っているけど。
俺にとっては。
その、おめでとうも、結婚の祝福に聞こえる。
それくらい、幸せで。
それくらい、浮かれている。
レイと出会って半年。
凄く早かった。
早くて、幸せだった。
これからもレイと、もっと幸せになりたい――
「ね、そこのお兄さん。火、かしてくれる?」
突然、甘い、気だるい声がした。