MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
「レイさん、孝太郎が内弟子辞めるって知ってたんだ?」
思わずそうきくと、レイさんは、いや、と首を横にふった。
「だけど、人生を変えるかどうか、揺れているのは知ってた。どんな事なのかは知らなかったけど。だけど、芝崎が自分で選んだんでしょ?なら、頑張れ、って言うだけじゃない?」
サラリ、とそう言った。
「孝太郎、実家戻って、親父さんの後を継いで政治家になるって…。レイさんの言葉で、迷いが吹っ切れたって。」
あんなに、政治家になるのは嫌で、ずっと菊さんについて行くって言っていたのに。
だけど、菊さんはいつか孝太郎が家に戻って親父さんのあとを継ぐんだろう、って思っていたらしい。
孝太郎の話を聞いても、あまり驚かず、頑張れ、応援する、って言っていた。
ユマば号泣だったけど。
「私は特別な事なんて言っていない。だけど、自分の人生を自分で決めろ、って言っただけ。もう、答えはでていたんだよ、きっと。芝崎なら、大丈夫でしょ?腹黒い青山さんについて仕事してたんだから。」
菊さんが、腹黒いって…。
「ぶっ、レイさんもいうなー。」
「だって、そうじゃない?ああいうタイプ、敵にまわすと厄介だけど、身内にいると何かと重宝よ。典幸もボンボン社長だから、青山さんみたいな計算高い人と仲良くしてもらえると少し安心だし。」
「菊さん、すげえ言われようだな…くくっ、だけど、レイさん、その腹黒い男に水ぶっかけたんだろ?」
「…眠くて、覚えてない。」
ぶっ、棒読みで返したし。
「はは…。レイさん、やっぱ、おもしれー。」
「…どこらへんが面白いのかがわからないし。」
タバコをふかしながら、棒読みを続ける。
だから、そこらへんがだってば。
「わからない、ってとこがおもしれー。くくっ、あはは…。」
ゲラゲラ笑う俺を見、てレイさんが呆れたように、くすりと笑った。
そんな時、世界一厄介な拗ねた声が聞こえた。