MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
「梅晴から聞いたかも知んねーけど。俺、今月で内弟子辞めて、実家戻って政治家めざすんだ。俺んち明治政府から続く政治家の家系で。家業の政治家を継ぐと思っていた弟2人とも、別の道に行くらしくて…。俺が戻ることに決めたんだ。」
菊弥先生と夕真さんの写真を撮って、暫くしたら少し早いが式場へ行っていようと、菊弥先生が言いだした。
お前はあとからでもいいぞと、気をきかせてくれたのか、菊弥先生と夕真さん梅晴は先に部屋を後にした。
俺は、丁度いい機会だと思い、レイさんに話しだした。
親父は多分あと1年くらいしたら党首になる…つまり。
総理大臣ってことだ。
まずは、秘書として一から勉強するんだが。
親父を支えていきたい。
多分、菊弥先生のところでやってきた裏の仕事が役にたつだろう。
菊弥先生はそれをみこして俺を仕込んだようなところもあるし。
そんなことを淡々とレイさんに語った。
レイさんは黙って聞いていた。
だけど、最後に。
「青山さんのところで、芝崎は、本当に楽しかったんだね?だから、人生を迷ってたんだ。」
そんなことを言いだした。
「え?」
まったく、その通りで。
俺は、驚いた。
だけど。
「だけど、親父さんや、弟が好きなんだな。家に戻ることを決めたんだから。まあ、決めたんなら頑張れ!応援してるぞ!」
口から出るのは、あたたかなエール。
レイさんの言葉は不思議だ。
本当に、頑張れる気がしてきた。
やっぱ、お手上げだ。
こんなイイ女、惚れないわけはない。
たとえ、他の男のモノであきらめるしかないっていったって・・・。
だけど、少し甘えてみるか。
ダメもとで。
「応援してくれんなら、ケー番おしえてくれ。」
そう言うと、少し眉間にしわができた。
「何で。」
「俺たち友達だろ。」
一方的だが。
「・・・・。」
「嫌か?」
「友達は、認める。だけど、ケー番教えると、将がうるさそうだし。」
「・・・・・・ちっ。」
「舌打ちすんな。はあ・・・将には内緒だぞ?」
そう言うと、赤外線をしてくれた。
咥えタバコで。
ウエディングドレスの咥えタバコで。
「応援してほしくなったら、電話して来い。」
部屋を出るときに、かけてくれた言葉は。
俺にとって、何よりも元気をもらう言葉だった。
あっぱれな、女だよ。
全く。
「おめでとう、レイさん。」
部屋を出る時俺は振り返ると、ため息をつくようにそう伝えた。