MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
「あっ、ああ…今行く…。」
声をかけてきた典幸に返事をする。
「あの子も相変わらずアホだけど…イイお兄ちゃんしてくれてる。私との約束まもってくれてるのね。」
「え?」
「私が死ぬ1ヶ月くらい前に、典幸がお見舞いにきてくれてね。その時泣きながら、私にレイの事は一生俺が守るって…。バカよねー、そんなこと言ったら私もうすぐ死ぬってわかっちゃうじゃない?」
「………。」
典幸、なにやってんだ。
「ふふっ、でも嬉しかった。あんなに酷いこと言っても、レイのこと見捨てないで、本当に大切にしてくれてる。感謝してるの。あれでアホじゃなきゃねー、葉山クリスタルも万々歳でしょうに。」
「美景…酷くないか?」
「そお?…でも、典幸はあの人懐っこさで得してる。あのいいバカさ加減で、周りの人に好かれてるわ。人に恵まれてる…このまま周りの人を大切に、誠実にやって行けば大丈夫よ。レイもなんだかんだ言って、兄貴思いだしね……。」
そこまで言うと、美景が下を向いた。
「美景?」
声をかけると、少し歪んだ表情をしている。
「謙ちゃん…。意地張ってごめん。」
「ん?」
「謙ちゃんと、ちゃんと結婚していれば、皆に…私の大切な人達にこんな苦しい気持ちにさせなかったのに。」
「美景…。」
「それを伝えたかった…。そして、レイを…葉山レイにしてくれて…葉山から嫁にだしてくれて、ありがとう。」
「・・・ううっ…。」
そんな可愛いこと言われたら、もう…。
幽霊でも、なんでもいい。
美景をただ抱きしめたくなって、手をのばした。
だけど。
「父さん!本当に、もう時間内ないから!!」
典幸のやつが、邪魔をしやがった。
「ちょっと、まて!!」
せめて、美景とキスくらいさせろ!!
と、思った時。
美景が俺の頬に、キスをした。
感覚はなかったが、確かに美景のぬくもりを感じた。
そして。
「謙ちゃん、ありがとう。大好き…私は目に見えなくても、謙ちゃんのそばにいつもいるからね。」
「み、美景っ…。」
「父さん!!わかった!じゃあ俺が、レイとバージンロード歩くからなっ!!」
ドアの向こうでとんでもないことを典幸が言いだした。
慌ててドアの方を見る。
「今出るからっ!待てっ!」
そう言いながら、振り返り。
とりあえず、時間だから美景に…。
え?