MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
なのに、その雰囲気が一瞬にして壊れた。
「すみません、もう一度質問をしたいんですがよろしいですか?瀬野さんと結婚されたのは、売名行為では?と一部では言われていますが、そこら辺はいかがでしょうか?」
レイの前に立った、さっきの失礼な質問をしたレポーターだ。
いつもマスコミの前では穏やかな俺が、一瞬にして怒りの表情になったのがわかったのか、レポーター達も困った表情になった。
だけど、レイだけは別に気にした風もなく。
「将は有名人だから、結婚相手は確かに、こうやって騒がれますよね。名前も表に出るから、確かに名前を売っていますよね?だけど、売名行為をして私に何の利益があるのかがわからないです。」
レイは淡々と答えた。
確かに、レイの言う通りで。
だけど、このレポーターは食い下がる。
「でも、こうやって囲まれて取材をして気分がいいんじゃありませんか?」
いい気になって質問を続ける。
取材陣がざわめいた。
いくらなんでも、言い過ぎだというところだろう。
レイじゃなかったらとっくに怒っているところだ。
「別に、私自身こういうことで気分がいいということはありませんが。人気俳優の将と結婚をして、ベリー・Bのモデルをして…という状況を外からみたら、いい気になっていると捉えられる方がみえるかもしれませんね。」
レイはそこまで言うと、一度言葉を切った。
って、状況を外から見たら、って何だよ・・・。
はあ、相変わらず自分の事に関してはクールだよな。
弁慶の事じゃ、ちょっとの事でもキレるくせに。
と、思っていたら。
「はい。申し訳ないですが、10分たちましたので、これでインタビューを終わりたいと思います。」
木村さんが、強引に割って入ってきた。
取材陣に残念な声が上がる。
「まって、下さい。まだ質問にきちんと答えて頂いていません!」
失礼な質問をしたレポーターが食い下がってきた。
だけど、他の質問をできなかった男性レポーターから、文句が出た。
「西村さん、いい加減にしてよ!瀬野さんは結婚されて、今日は映画賞のノミネートでフランスへ行かれるんだよ?そんな意味もない失礼な質問で、おめでたい、せっかくのインタビューの時間つぶれちゃったんだよ?」
他からも同意の言葉がとんだ。
搭乗の時間があるので、俺は頭を下げてレイの手を引き移動しようと歩き出した。
だけど。
「まって、下さい!今の質問にちゃんと答えてください!!こうやって注目を集めて、どんな気持ちですか!?」
西村というレポーターが、諦めないでまだ食い下がってきた。
俺はうっとおしいので、立ち止まらずぐいぐいレイの手をひっぱり、歩みを進めた。
でも、西村はあきらめないで、デカイ声で質問を繰り返す。
レイが立ち止った。
くるりと振り返り、西村をギロリと睨みつけた。
西村がその睨みに、一瞬怯んだ。