MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
「…徳井さんて、性格悪いですよね。」
レイのウンザリした声がした。
俺は、レイがいるリビングには入らず、ドアの内側で立ち尽くしていた。
グラスに氷があたる音がする。
つまり、2人して飲んでるのか?
「あらー。私にとっては、それって最大の誉め言葉よ。」
レイの言葉にゲラゲラ笑う徳井さん。
彼女がこんな感じで話すのはめずらしいな。
つまり、レイを気に入ったってことか。
「…はあ。話術では、徳井さんに叶わないです。」
「ふふ、それって、私の口が上手いって言うこと?」
ずっと徳井さんはからかい口調だ。
レイをからかうなんて、ある意味凄いよな。
「…いえ、そうではなくて。なんていうか…徳井さんの言葉は、ただ辛辣なだけじゃなくて…。真実を炙り出すような、そんな力があると思って。」
それまでケラケラ笑っていた徳井さんが、ピタリと黙り込んだ。
「やだ…そんな事、初めて言われたわ。驚いた。」
「そうですか?私、さっきインタビューを受けていた時、そう思ってどうしたらそんな風にできるのかって考えていたんですけど。やっぱり、ディベートとか練習したんですか?」
「ディベートね…そうね、学生の頃にはサークルに所属していたけど。」
「やっぱり…私も少しやってみようかな…。」
「え?あなた今度はインタビュアーにでもなるの?」
「ち、違いますよっ。そうじゃないです。患者さんと話をする時…主に診察ですね…。まあ、中にはやっぱり、病気が怖くて不安な部分があってもあえて言わなかったり、軽く言ったり、で…発見が遅れたり、手遅れになったりすることもあるんです。会話って難しいです。特にシリアスな場面で、真実を見極めたい時は。」
レイの医者としての、葛藤が伺える言葉だった。
「…成る程ね。じゃあ、いい事を教えてあげるわ。本当に真実を見極めたい時に、どうすればいいか。」
「え、どうするんですか?」
レイの凄く真剣な声。
「まず、その人に対する自分の感情やイメージを外すの。まあ、先入観ってやつね。で、その後、その人の言葉にブレがないか、チェックする。嘘をついていれば、必ず言い訳が先にくる。予定外の事を聞けば、嘘をついていれば、ボロが出る。そこをつくのよ。で、真実を話している人は、繕わないわ。自然と会話になるの。私の質問に納得したりね、貴女みたいに。」
成る程。