MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
「確かに、そうですね。でも、難しそう。徳井さんもキャリアを積んで今があるんでしょうから、私も今の事を頭に入れてこれから経験を積んでいきます。」
いつもより口調がゆっくりなのは、徳井さんの言葉を噛み締めながら応えているせいかもしれない。
そんなレイに。
「あなたって、本当に魅力的なひとね。」
徳井さんがため息をついた。
「ええっ。」
レイがすっとんきょうな声を出す。
それに、徳井さんがクスクスと笑いだした。
「本当に、クールなのは見かけだけ。医者として本当に情熱をもっていて。熱心で、ハートがあって。だけど自分の技量っていうものをきちんと理解していて。そして、高い理想を持っていて。あの、将くんがメロメロになったのも頷けるわよ。」
「……。」
見なくてもわかる。
きっと今のレイは、ほめられて居心地が悪くて。
きっと、赤い顔をして、オロオロしているんだろう。
その証拠に、徳井さんのクスクス笑いが続いている。
「……メロメロなのは、私の方です。」
「え?」
「今、将が私だけを見てくれているのがわかっているのに。昔の事を持ち出したって仕方がない事なのに。だけど、凄く嫌で。くだらないヤキモチを妬いている私がもっと嫌で。将のモチベーションを下げるような事をしちゃいけないことくらいわかっているのに…。だけど、素直に将に向き合えなくて…。」
レイ…。
俺、今、スゲーテンションあがったんだけど!?
レイがヤキモチって、無茶苦茶嬉しいんだけど!?
「私は余計なこと言ったなんて思ってないわよ。だって、将君のそういう話は表に出ていないけど。当事者の女の子たちや関係者は知っているから、もしかしたら貴女の耳に入るかもしれない。それが真実だけであればいいけど、変に湾曲された話になっていたら、面倒くさいことになると思ったの。」
確かに、徳井さんの言う通りだ。
「確かに、そうですね。」
「30過ぎて、初恋のような無垢な相手を期待しているわけではないでしょう?将君だって、色々な経験を通して今の彼があるのよ。貴女だってそうじゃない?」
「はい。」
「…わかってくれたみたいね。じゃあ、丁度いいわ。早速さっき私が教えた『真実を見極める技』を試してみて?」
徳井さんがそう言った途端、いきなり俺の前のドアが開けられた。
ええぇっーーー!?