MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
④旧知(レイサイド)
まったく、もうっ。
将があんな濃厚なキスを場所も考えずにするもんだから。
大変なことになっちゃったじゃないか!
何故か私たちのキスシーンが話題となり、新聞やテレビに流れてしまった。
『20年目のキス』っていう映画のタイトルと重なって、話題になってしまった。
ノミネートされている日本人俳優と、ベリー・Bの新コンセプトで話題のモデルが新婚で微笑ましいラブラブぶりって事だろう…。
はあ。
フランスまできて、これじゃバカップルだっていうの。
「なんだよ、レイ。まだ怒ってるのか?」
将が私の肩を抱き寄せ、耳元にキスをするように話しかけてきた。
そのからかうようなしぐさにイラッとする。
「もうっ。公の場でのキスは禁止だからっ!!」
ブチ切れ状態で、将の体を押し返す。
私は、真剣に怒っているのに、将がクスクス笑っていてますますイラッとする。
「そんな、怒るなよ?」
知るかっ。
そう思って、将を放置して歩き出した。
慌てて追ってくる将。
タバコを吸いに行きたいだけなのに。
しっかりと繋がれる手。
「………。」
恥ずかしいけれど、将の手が嬉しくて振り払えない私。
はあ。
やっぱり、バカップルかも。
手をつないで歩き出すと、木村さんがニヤニヤしながらやってきた。
もう、顔がうるさい。
もう、何にも言わなくていいから。
そう思っていたけれど、そんな希望は通らず。
「いやー、派手にやってくれたねー。」
木村さんが将の脇をつつく。
「別に…人前なんで、あれでも手加減したんですけど?」
何?何、そんなこと言っちゃってるの?
「えっ、レイちゃん、そんなに激しいの?将のキスって?」
木村さん、バカだろ?
何聞いてるの?
そんなこと言うわけないじゃん。
私が無言でにらんでいると、男2人で爆笑しだした。
そして。
「しかし、いい宣伝になったよ。『20年目のキス』随分審査員が見にいっているみたいだぞ?…それに、まあ、将はいままであんま、スキャンダルとかなかったから、これでワイルドな感じでプラスにもなるんじゃないか?』
木村さんが、上機嫌でそんなことを言った。