MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】
「で、俺の気持ちもレイの気持ちもお互い理解したところで……レイ、俺、聞いてなかったんだけど?知らないやつなら、別にいいけど。顔を合わせたんだから、アイツの口からああいうこと聞くの気分凄い悪い。」
とりあえず、あのフランス人同級生のことをはっきりさせないと!
「だから、多分今日あたり顔合わすからと思って…昨日の夜、言おうと思ったんだけど…言えなくて…将、機嫌悪かったし。」
俺は、昨日レイが俺に伝えたいことがあったのに、早くレイを抱きたくて話を終わらせてしまったことを悔やんだ。
だけど、仕方がない。
「・・・じゃあ、今聞く。説明して。あ、その前に…レイ、俺の映画でラブシーン見て、機嫌悪くなってたけど…あれは…「べ、別にっ…そんなんじゃないし!」
レイが赤い顔で叫ぶ。
ぶ。
いや、完全に機嫌悪かったじゃん?
「じゃあ、俺の勘違いでもいい。説明させて?俺は今はレイ以外に女とキスしたいって思わないから。それに、ドラマのキスなんて、カウント入れてないし。」
「だ、だけどっ!!」
「だけど、何?」
レイをじっと見据えた。
俺は、レイに骨抜きだと思うけど。
いつも、こういう時は冷静になれる。
なぜなら、売り言葉に買い言葉なんてことをしたら、時間の無駄だからだ。
本当に大切に想って、失いたくない相手だったら、いくら腹がたつことがあっても、まず気持の確認をして絶対に誤解がないようにきちんと面とむかって気持ちを話しあう――
これは、俺の父親がそうだったからだ。
俺の亡くなった父親は、建設会社でダムの設計をしていた。
だから、家を長い間空け、現場にいっていることなんてしょっちゅうだった。
だから、母親と行き違いみたいなものもあったんだろうが、母親がいくら感情的になっても、父親は冷静に話をきいていた。
それは自分も感情的になったら面倒だ、とかではなくて。
感情的になっている母親に、いろいろ言いたいことはあるが、と前置きをして、母に対する愛情が変わっていないことを、正面からいつも一番に伝えていた。
母を愛していることは変わらないが、これに対しては腹がたったとか、こういうきもちだったとか、そんな言い方をしていた。
一度、中学の時に父に聞いてみたことがある。
「なんで、母さんのことをいちいち愛してるなんていうんだ、恥ずかしくないか?」
それに対し父親は。
「恥ずかしくない。仕事で家にいることがすくないから、喧嘩なんかしたくない。喧嘩をしている暇がおしい。」
本当に母親を愛しているんだと思った。
だから、俺もレイに対してそうでありたいと思っている。
確かに、レイの頬や、手のこうにキスをした時は、八つ裂きにしてやりたいと敵意がわいた。
あ、また思い出したら。
腹が立ってきた。
「だ、だけどっ、お芝居でもっ、口がくっついてるでしょ?そ、それにっ、べ、ベッドシーンだって!!」
俺は、レイの言い分にため息をついた。
でも。
ま。
素人はそう考えるよな。