恋色花火
あたしの恋愛事情を知ってるのは、ふたり。


ひとりはここ。

お互い隠し事は無しって決めてるから、ほとんど知らないことはないと思う。

もちろんここの恋愛事情をあたしは知ってる。


なんかあったらすぐにお互いに相談するし。



そしてもうひとりは、こいつ。


「やべー、こないだのテスト、赤点4つあったわー。夏休み補習ばっかだーっ」


西川啓介(にしかわ けいすけ)、桜宮高校サッカー部1年生男子、ただのバカ。

一応、保育園からの幼なじみ。

さっきたまたま廊下で会って、ふたりでグラウンドまで一緒にきたんだ。


「てかさ、ほんと杏はいいよなー。頭よくって」

俺も天才に生まれたかったー！とか言って、叫んでる。

啓介はバカでアホだけど、裏表のない素直な性格で、サッカーが絡むと人が変わったように真剣になる。

そんなところが女子に好かれ、昔からすっごくモテる。


あたしも、もちろん啓介のことは好き。

いちばん話しやすい男子って感じ。


もちろん、友達としてね？







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