プロミス〔疑惑のグロス・番外短編〕

記憶の隅に、テレビで見たドラマのシーンを覚えていた。

結婚する二人は、指輪を交わすのだ。


「じゃあ、これが指輪のつもりねー」


目の前にあった、一口欠けたドーナツを手にして、ゆたに渡した。


私の小さな指に通された大きなリングは、パウダーシュガーまみれの甘いリング。


「わあー」


手に感じるずっしりとした重み。


「この指輪、大きくておいしそうね!」


二人で顔を見合わせると、夢中でドーナツを頬張った。

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