プロミス〔疑惑のグロス・番外短編〕
「しょのみちゃん、待ってえ!」
幼稚園の年中組のゆたは、滑舌が悪く、サ行がうまく発音できない子だった。
ゆえに、私の名前を上手に言えず、いつもバカにされるはめになっていた。
「ゆたー、しょのみ、ってだあれ?
あたし、そのみだけど?」
少しばかり年上の私は、腰に手を当ててそう言うのがお決まりだった。
「僕も、上手に言えるように頑張ってるのに。
しょのみちゃんのいじわる!」
最初は泣いていたけど、恒例のやりとりになってくると共に、ゆたはプイと横を向くだけになった。