プロミス〔疑惑のグロス・番外短編〕

夏の朝は、夜のうちに街灯に集まっていた蛾が、道ばたで寝坊していたりする。


私は、蛾がものすごく苦手だった。

今もまだ、あいつらの姿を見ると腰が引けるのは変わらないけど。


道の隅に、大きな羽を広げて休息しているヤツを発見した途端、足がすくんで歩けなくなってしまうのだ。


蛾を発見したら、棒で突いたり虫網で捕獲して遠くへとやってくれるのが、ゆたの役目だった。


「ハイ、もういないよ。大丈夫。」


私よりも3つも下なのに、そのときだけは本当に頼れるスーパーマンだった。

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