ヒナタちゃんの就活
パンフレットを受け取って会場に向かうと、もうすでに学生が会場を埋めていた。

ざっと500くらいはいるであろうか。

日向は後ろの方だった。

無理もない。遅刻しかけてたんだから。

5分経つと、ホールの前の壇上に、これまた上品な男性社員が現れた。

「今日は、雨の中わざわざおこしいただいてありがとうございます」

学生達がぼそぼそと返事を返した。
日向もそれにならった。

男性社員は、会社の概要を説明し始めた。
手元のパンフレットをなぞったような内容である。

これくらいの知識は、日向も知っていた。

ネットで、採用試験を受ける会社のことを調べるのは、現代の就活生の常識だ。

中には、必死にメモをとっている学生もいる。

調べたりないんだ、と日向はほんの少し、優越感にひたった。

会社の解説が終わった後、筆記試験が始まった。

筆記試験は、国語と数学。それにSPIと呼ばれる性格診断テストがセットになっている。

性格診断テストについては、いかに自分が素晴らしい人間に見えるかを考えて、解答した。

出来は…まずまずか…

それが終わると、複数名で一度に受ける、集団面接だ。
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