ヒナタちゃんの就活
愛は日向のそんな感想もおかまいなしに話を続けた。

こんなに積極的な子じゃなかったとおもうけど。

「ヒナタも後の方なんだ～。私も今日、遅刻しかけてさ。山手線、止まっちゃうんだもん」

「私も山手線で、足止めされた」

「そうなんだ～。今日は、雨も降ってるし嫌だよね」

久々の再会だけど、それほど親しい間柄ではないから会話は、当たり障りのない話題だった。

「でも、こんなところで会うなんて本当に奇遇だよね」

親しい人間ではないが、面接の緊張を紛らわせるにはいい相手だ。

面接と聞いて、さすがにみんな緊張している。

それを意識しないために皆が仲間を作って話し込んでいるんだろう。

一見、笑顔を見せて笑っているようだけど、きっと、本当はみんな余裕がないはずだ。

日向は、愛と特に内容の無い話を続けた。

それでも、順番はまわってこない。

「席、近いから同じ面接になるかもね」

と、愛が言う。

「なんか、変に緊張するな。そうなっちゃうと」

「それにしても遅いね」

「確かに、いつまで待たせんだろ？」

そうこうしているうちにやっと、番がまわってきた。

面接は、愛と同じグループでの面接だった。
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