空を失った青(青空への手紙~君との約束~の番外編)
熱戦
「__ということだから。前にも言ったと思うけど、油断してかかるな。
いくら負けたことがないからと言っても、相手は甲子園常連校。キャプテンはあの天才キャッチャーの川崎誠だからな。
真帆。分析できたか?」
ここは、夕食を食べる夕凪の間。
皆、あっという間に料理を食べ終え、今日の反省と次の試合に向けたミーティング中。
あたしは、ホテルの人が食器を片づけるのを手伝い、真帆は将星の分析データーを淡々と読み上げていた。
あとから聞いた話だと、真帆はあのマネージャーを決めるオーディションの時、淡々と藤青野球部の強みと弱点をぴしゃりとキャプテンの前であてたらしい。
あの、短時間の野球部の練習を見ただけで。
なんという観察力。
話を聞いた瞬間、真帆がマネージャーの面接に合格したことに納得ができた。
「キャプテンの言う、将星のキャプテン、川崎誠は甲子園を見ている人ならば、誰もが注目している選手です。キャッチャーであり、4番バッターでもあります。
川崎誠のリードを分析してみましたが、すべて相手の苦手なコースをついてきています。ということは、きっとこの野球部のレギュラーはもちろん、選手全員の苦手なコースが川崎誠の頭には入っていると思われます。
将星の脅威はもちろん、川崎誠だけじゃありません。ピッチャーの2年生、中田樹(ナカダ イツキ)は、コントロールがしっかりと出来たピッチャーです。ということは、川崎誠のリードにしっかりと答えることが出来ます。
そして、今年の将星はどうやら攻撃重視のようです。盗塁の多さがすごく目につきました。特に1番バッターの1年生、大野真一(オオノ シンイチ)は将星一の俊足です。
以上の分析結果から……
えっと……とりあえず、頑張りましょう」
「おい、真帆……。お前まとめる力だけはねぇよなぁー」
キャプテンが苦笑いしながら、真帆にそういう。