空を失った青(青空への手紙~君との約束~の番外編)
「先輩、半年間も眠ってたって……眠り姫ならぬ眠り王子ですか?」
梶くんが、冗談交じりに笑いながら、質問した。
「ちげーよ。ちょっと事故っちまって、なんか起きたら半年経ってたってことだよ」
相原先輩が少しめんどくさそうに、笑いながらそう梶くんにいった。
「なんで、俺らに教えてくれなかったんですかー」
そういって、ブーブー言うのは福島くん。
「言えって言われてねえし?」
そういってニコッと不穏な笑みを浮かべて、相原先輩は辻先輩の方を見た。
その笑顔には「余計なこと言うなよ」という意味が込められているように思えてあたしは思わずお腹の底から笑ってしまった。
そして、あたしにつられて、キャプテン、辻先輩、真帆……いつの間には相原先輩までお腹を抱えて笑っていて、夕凪の間にはあたしたちの笑い声が響いた。
__ねぇ、空さん。
きっと、空さんは、相原先輩のそばにいてくれているんだよね。
あたし、空さんの代わりにはなれないけれど、相原先輩が全力で野球ができるように支えていこうと思う。
空さんが守りたかった相原先輩の笑顔、ちゃんとここにあるから。
だから、安心して空から、青空から見ていてください。
きっと、きっと、先輩は空さんのために勝ってくれると思うから。
青空に優勝旗を掲げてくれると思うから。