叢雲 -ムラクモ-
「……あー、クソ」
完全な八つ当たりじゃねーか、俺。
「答えてくださいよ!!」
職員室の前を通るとき予想もしてなかった大声が聞こえて、俺は結構驚いた。
それが北川の声に聞こえたんだから、尚更だ。
「どこにも書いてませんでしたよ!」
何の話だ?
「どういう事か説明しろよな、坂上先生!」
これは……岸田の声か?
どうやら坂上先生と何か話しているらしい。
俺はことさら何でもなさそうに、職員室の扉を開けた。
職員室に用はないが、北川が大声を出すなんて、何があったか気になる。だろ?
「あ、松村先生」
実は久しぶりに聞く、坂上先生の高い声。
「先生!」
「松ちゃん!」
北川と岸田が走りよってくる。こいつらと話すのも一週間ぶりか。
「あのね、あたしと岸田くん、読んでみたの」
敬語がなくなってることにいささかほっとしつつ、しかし俺はそれを顔に出すなんて情けないことはしない。北川に、自然に返す。
「何を?」
「校則」
「……校則ぅ?」
聞くだけで頭が痛くなりそうなそれを、こいつらは読んだだと?
「おう。教師と生徒が一緒に登校しちゃいけねーなんて、どこにも書いちゃいなかったぜ」
「……岸田、それ本当か?」
「北川も一緒に読んだんだ。北川は部活の時間つぶしてさ、土日もテスト前なのに少しの時間みつけて二人で読んだ。間違ってるわけねえだろ」
それが本当なら、俺は何のために今まで悩んできたんだよ。
「坂上先生」
「……はい」
「どういう事か、説明してもらえますよね?」
予鈴が鳴ったが、誰も教室に戻るなんてアクションは起こさなかった。
完全な八つ当たりじゃねーか、俺。
「答えてくださいよ!!」
職員室の前を通るとき予想もしてなかった大声が聞こえて、俺は結構驚いた。
それが北川の声に聞こえたんだから、尚更だ。
「どこにも書いてませんでしたよ!」
何の話だ?
「どういう事か説明しろよな、坂上先生!」
これは……岸田の声か?
どうやら坂上先生と何か話しているらしい。
俺はことさら何でもなさそうに、職員室の扉を開けた。
職員室に用はないが、北川が大声を出すなんて、何があったか気になる。だろ?
「あ、松村先生」
実は久しぶりに聞く、坂上先生の高い声。
「先生!」
「松ちゃん!」
北川と岸田が走りよってくる。こいつらと話すのも一週間ぶりか。
「あのね、あたしと岸田くん、読んでみたの」
敬語がなくなってることにいささかほっとしつつ、しかし俺はそれを顔に出すなんて情けないことはしない。北川に、自然に返す。
「何を?」
「校則」
「……校則ぅ?」
聞くだけで頭が痛くなりそうなそれを、こいつらは読んだだと?
「おう。教師と生徒が一緒に登校しちゃいけねーなんて、どこにも書いちゃいなかったぜ」
「……岸田、それ本当か?」
「北川も一緒に読んだんだ。北川は部活の時間つぶしてさ、土日もテスト前なのに少しの時間みつけて二人で読んだ。間違ってるわけねえだろ」
それが本当なら、俺は何のために今まで悩んできたんだよ。
「坂上先生」
「……はい」
「どういう事か、説明してもらえますよね?」
予鈴が鳴ったが、誰も教室に戻るなんてアクションは起こさなかった。