バスケ馬鹿にホレたバカ。
あたしは練習が終わるタイミングを見計らって、
麗と一緒に帰ることにした。
「ねぇ」
帰っている途中に麗が口を開いた。
「ん?どしたの?」
「夏帆はさ、もしも…もしも友達の好きな人を好きになったらどうする?」
「え…?何、どうしたの?」
急に変なことを言い出したから変な汗が出てきた。
「ううん…。もしもの話…だよ?」
「…好きになるのは仕方なくない?人間おんなじ人を好きになるって
よくある話じゃん?」
「そうだよね…」
「うん。先に思いを伝えたもん勝ちだよ…?
麗、もしかして好きな人…」
麗には怜さんがいるのに…。
本気でそう思った。
「ううん!もしもの話っていったでしょ?」
「うん…。わかった」
内心ホッとした。でもその言葉を打ち消すような一言が
麗の口から発せられた。
「それよりさぁ…廉、付き合ってる人いるらしいよ?」
「…え」
『ほら』といって麗はスマホの画面をタップした。
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受信:To.麗
麗って好きな人いんの?
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送信:To.廉
はぁ?急にどしたの?
怜しかいないでしょーが(笑)
廉、いるの?
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受信:To.麗
いるよ
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送信:To.廉
うっそ。マジで!?
…誰?
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受信:To.麗
それ聞く?ふつー…。
誰とは言えないけど、明るくて、
優しくて、一緒にいて楽しいんだ。
長い付き合いだし、
これからも一緒にいれたら
いいなぁって思ってる///
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言葉が出なかった。
彼女がいたなんて…。
廉は彼女がいたのにあたしにかまってくれてたの?
上辺?適当?親に言われたから?
「長い付き合いってどれくらいなんだろ?」
麗はあたしの気持ちも知らないで
憂鬱にそんなことを言っている。
だんだん苛立ちはじめた…。
「…ないで」
「え?何て言った?」
「麗はあたしが廉のこと好きなの知ってるよね…」
「…知ってるけど?」
「よく、あたしの気持ちも知らないでヘラヘラできるよね…?!」
そう言い残すと走って家に帰った。