バスケ馬鹿にホレたバカ。

好き。


次の日学校に行った。

廉と気まずくなりそうでイヤだったけど、
教室を見渡すと廉の姿がなかった。
内心、だいぶホッとした。

でも、そんな気持ちもつかの間だった――――…。

「おい、岸本~」
「何ですか…?」
普段あまり先生に呼び出しされないあたしが
呼び出しくらったからちょっと驚く気持ち半分。

「川上の家に行ってきてくれないか?」
「は…ぁ?廉の家…に?あたしが?」

廉の家に行ったら気まずいから行きたくない気持ち半分。

「廉、休みなんじゃないの?」
「連絡…つかなくてな。 ま!そういうことだから、よろしく。」
「え…。ちょ…っ! …はぁ!?」

あたしがそう言う前に先生はどこかに行ってしまった。
『行かずにサボろ』とは思ったけど、
後でまた呼び出しされたら厄介だから
あたしは渋々廉の家に向かうことにした。

廉の家は学校から10分ほどのところにある。
まぁ、あたしの家の隣だけど…。

ピンポーン ピンポーン

チャイムを何度押しても返答なし。
廉のお母さんたちの車もなかった。
あたしは衝動にかられてドアを引っ張った…。

ガチャ…

「え…?」

ドアは開いていた。

あたしはそのまま家に駆け込み、
急いで廉の姿を探す。

「…廉!?」

廉はすぐに見つかった。
ソファの横に一人で倒れていた。

「廉…!廉!

廉の顔は真っ赤なりんごみたいになっていて…。
おでこに触れた瞬間――――…。

「…っ!?すごい熱…」

あたしは廉を担いで2階の廉の部屋に連れて行こうとしたけど…
できるわけもなく。

「か…ほ?」
あたしが諦めようとした瞬間、
廉が目を覚ました。

「廉…。熱、大丈夫?」
「だいじょ…ぶ」
「そっか…」


昨日のこともあったため、
まともに廉の顔すら見れない…。

見たくない。

廉の部屋へと言って、熱を測らせた。
「38.2…」
「けっこー高いね…。」

「あのさ…。何で…彼女いるとか言ったの…?」

返事に戸惑った。
でも、いるもんはいるんだから仕方ないじゃん。

「麗が言ってたから」
「麗…が?」
「そうだよ。メールでいるっていってたじゃん。廉」

現にこっちには証拠もあるんだし、
言い逃れは出来ないと思っていた矢先――――…。

「そんなの…言ってない」
「は?だって『長い付き合い』っていってたし。」
「じゃぁ…それが恋愛の付き合いじゃないとしたら…?」
「…は?」

廉が言いたいことの意味が分からなかった。

「俺には…付き合ってる人はいないけど、
 好きな人は…いる。」
「だから、それは誰?」

「お前」

「…え?」
「『長い付き合い』ってのは…幼なじみとして。ってことなんだよ…。
 俺は…お前が好き…」

つい昨日まであんなにグチグチ言ってた自分が
なんだかアホらしく思えてきた。

「廉…?」「お前が嫌ならイヤっていってくれていから…。
 俺と…付き合ってくんない…?」
「ありがと…っ。あたしも好きだよ…」

ギュ…ッ

「…っ」
身動きが取れない。
あたしは…抱きしめられていた。
「少しだけ…このままでいさせて…」
「廉…。熱あるん・・・」

ガチャ…

「廉~…。お前遅刻!…って…あ…」
「怜さん!?」

怜さんがいると分かった瞬間。
あたしは廉の手を振りほどき、急いで廉の布団の中にもぐりこんだ。

「兄貴…?」
「あ…。おじゃましました~!…ごゆっくり?」
「ちょ…っ!怜さん!違うん…」

バタンッ…

「廉のバカ~ッ!怜さんに見られたじゃん!」
「よくない…?」
「よくない、よくない!っ」

あたしは首を横にブンブンと振った。

ねぇ、廉…?
あたしたち…このまま幸せにやっていこうね…?
運命の赤い糸はどんなことがあっても切れないよね…?

たとえ、何があったとしても・・・
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop