となりのアイツ*
あたしはお箸を持つと、颯太の手作り弁当の卵焼きを口に入れた。
「うん、おいしい」
それにしてもアイツ、いつの間に料理なんてできるようになったんだろう…。
ふっくらと焼かれた卵焼きも、唐揚げも、ほうれん草のおひたしも…鮭の塩焼きもご飯も、全部おいしくて。
あたしはきれいに完食した。
「おっ!愛莉、倉橋くんのお弁当完食じゃん。よほどおいしかったんだね」
「べっ、別に。せっかく颯太が作ったんだから、残したらもったいないなと思って食べただけ」
「まったく、愛莉は素直じゃないなー」
菜緒の言うことは聞き流し、あたしはお弁当箱を片づけた。