となりのアイツ*
…──それから約1時間後。
「はぁ…重い…」
家から歩いて15分くらいのところにあるスーパーで買い物を終えたあたしは、買い物袋を持って帰り道を歩いていた。
お母さん、自分が買いに行かないからって、あたしに重たい物ばかり頼まないでよ…。
買って来た物は、夕飯の材料のじゃがいも、人参、玉ねぎ、お肉に、飲んでなくなってしまった牛乳。
なんか、重たい物を持っていると、普段歩き慣れている家までの道のりも、いつもよりも遠く感じてしまう気がする。
それに、今は6月の梅雨の時期で、今日は特に蒸し暑いし。しんどい…。
「はぁ…家まであと10分ほどだ」
あと少し!頑張れあたし!!
自分で自分に心の中でエールを送りながら、時々流れる汗を拭いつつ、あたしはどんよりと曇った梅雨空の下を歩く。
「あれ?愛莉…?」
しばらく歩いたところで、よく見知ったアイツと出くわした。