となりのアイツ*


「ちょっと颯太。それぐらい自分で持つから」

袋けっこう重いし、まして人の家の夕飯の買い物袋を颯太に持ってもらうなんて悪いし。


「お前、さっき重そうな顔して歩いてたじゃん。無理すんなって。

それにさ…俺が持ってやりてぇんだよ」


颯太…。

そんなこと言われたら、断れないじゃない。


「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて…」

「おう」



颯太と2人並んで、家までの道を歩く。

こんなふうに颯太と並んで一緒に家まで歩くのは、いつぶりだろう。小学校以来かな。


小学生の頃は毎日一緒に登下校してたけど、中学生になって颯太がバスケ部に入ってからは、朝練や放課後の部活でお互いの時間が合わなくなって、それからは別々に登下校するようになったんだっけ。


小学生のときと比べて今の颯太は、背も伸びて声変わりもして、女の子からもモテるようになったけど…


こうやって、重い荷物を持ってくれるような優しいところは、昔から変わらないね。



< 15 / 68 >

この作品をシェア

pagetop