となりのアイツ*
「んー!甘くておいしーい」
「ほんと愛莉、いつもおいしそうに食べるよね」
「だって本当においしいんだもん」
あたし、杉崎 愛莉(すぎさき あいり)。先々月の4月に高校に入学したばかりの高校1年生。パンが大好きな、どこにでもいる普通の女の子です。
「そうだ。愛莉、聞いてよ。昨日さ…」
6月に入って、この高校生活にもだいぶ慣れたあたし。こうして仲の良い友達と楽しく話しながら大好きなパンを食べているときが、あたしの幸せな時間。
二口目を食べようと、再びメロンパンを口元へと運びかけたとき…
「愛莉、お前またパン食ってんのかよ」
ーー!!
後ろから少し呆れたような声が聞こえた、と思ったら…
「あっ…」
あたしが持っていたメロンパンを、後ろにいた誰かに取られてしまった。
その“誰か”は、顔を見なくても分かる。