となりのアイツ*


「ばーか。お金なんて請求するつもりはねぇし、別に何も企んでなんかないから。
俺はただ、自分の作った弁当を愛莉に喜んで食ってもらえれば、それで十分なの」

と言われ、あたしは颯太に思いきりデコピンされた。


「…っ。いったーい。もう!何すんのよ颯太」

「ははっ、俺のことを少しでも疑った罰だ」

「もぉ〜」


「俺がこうやって、自分のため以外でわざわざ手間暇かけて弁当を作ってやる奴なんて、愛莉だけだからな。

それだけ俺にとって愛莉は…特別…、ってことだから。よーく覚えとけよ」



“特別”

え、それって…どういう意味?
そう聞こうとしたけれど…


「じゃあな」

あたしが聞く前に、颯太は教室を出て行ってしまった。


教室を出て行くときに、ちらっとだけ見えた颯太の顔が、少し赤くなってるように見えたのは…気のせい?



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