となりのアイツ*
♯3
1学期の期末テストをあと1週間後に控えた、6月下旬のある日。
梅雨の時期としては珍しくこの日はいい天気で、朝からずっと晴れていた。
早いもので、颯太があたしにお弁当を作ってきてくれるようになってから、もう少しで1ヶ月になる。
この日の放課後、家に帰ろうと1階の下駄箱までやって来たあたしは、教室に忘れ物をしたことに気がついた。
「しまった。英語の辞書、教室のロッカーに置いたままだった」
辞書がないと、恐らく今日の英語の宿題をするときに困るだろうと思ったあたしは、教室まで取りに戻ることにした。
あたしが1年生の教室がある3階までの階段を全てのぼりきり、廊下の角を曲がると、よく見慣れた人物が廊下の半分くらい先を歩いているのが見えた。