となりのアイツ*


「…颯太!?」

自分の名前を呼ばれて後ろを振り返ると、そこにはあたしが今一番会いたくない人…颯太がいた。


「愛莉お前、傘もささずにそのまま帰るつもりかよ?」


「そうだけど?傘持って来てないんだから、仕方ないじゃない」


「だったら、これ使えよ」

颯太はあたしのところへやって来て、自分が持っていた傘をあたしに差し出してくる。


「いいよ、別に。このまま走って帰るから」


「だめだって。そのままじゃ、風邪ひくだろ?」


「いいって言ってるじゃない。それより颯太、部活は?早く行かないと遅れるよ!?」


「ああ、分かってる。これから行くとこだけど…愛莉がこの傘をちゃんと受け取ってくれたら行く」


えっ!?



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