となりのアイツ*
「ほら、傘自分で持てよ」
颯太は自分が持っていた傘をあたしに押しつけてきて、無理やりあたしに持たせると…
「じゃあ、俺は今から部活に行ってくるから。愛莉、家に着いたら風呂にでも入って、ちゃんと体温めろよ?じゃーな」
そう言って雨が降るなか、びしょ濡れになりながら走って学校のほうへと戻っていった。
ねぇ、颯太。なんでこんなときにまであたしのことを気遣ってくれるの?
自分だって濡れちゃうのに、それに構わずあたしに傘を貸してくれたの?
ほんとに颯太は、どんなときでも変わらず優しいんだから…。
あたしは、走っていく颯太の後ろ姿が見えなくなるまで、その場を動かなかった。