となりのアイツ*


「あー…別にいいよ。俺、全然気にしてないから。だから愛莉も、もう気にすんな。なっ?」

そう言って颯太は、あたしに優しく微笑んでくれた。


あ…。

颯太に「気にしてない」と言ってもらえて、さっきまでずっとあたしの心にかかっていた靄が、一気に晴れた気がした。



「ありがとう、颯太。
ねぇ、家に帰ってきてから何か食べた?薬は?飲んだ?」


「いや…何も食ってねぇ。薬も…まだだし。…ごほん、ごほんっ」

颯太が苦しそうに咳き込む。


「大丈夫!?颯太…。あっ、そうだ!
ご飯まだなら、あたしが何か作ってあげるよ。いつもお弁当を作ってもらっているお礼も兼ねて」


「…はぁ!?」


よほど驚いたのか、颯太が素っ頓狂な声を出す。



< 50 / 68 >

この作品をシェア

pagetop