となりのアイツ*


「愛莉、冗談はよせよ。お前、いつも料理は苦手だって言ってて、ほとんどやったことないくせに…ちゃんとできんのかよ!?」

颯太が目を丸くして聞いてくる。


「もぉ、そんなに驚くことないでしょ?あたしだって、料理くらいやればできるってところを見せてあげるから。颯太は安心して眠ってて?あ、冷蔵庫の食材とか借りるね」

あたしは隣のキッチンへと移動する。


「…あの愛莉が料理とか、ありえないんだけど。安心どころか逆に心配で眠れねーよ」

「颯太、何か言った?」

あたしはキッチンのほうにいて離れててよく聞こえなかったため、もう一度聞き返す。


「いや、何も言ってねぇよ。
あ〜、愛莉が作ってくれる料理、すっごく楽しみだなぁ〜」

確かに颯太が何か言った気がしたんだけど。…気のせいだったのか。


ていうか、『すっごく楽しみだなぁ〜』って言い方がなんかわざとらしい。
棒読みだったし。


いいもん。絶対においしいものを作って、颯太をびっくりさせてやるんだから!



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