となりのアイツ*


「あっ…!」

あたしがふとテーブルのほうに目をやると、テーブルの上に置かれていた土鍋が、いつの間にか空になっていた。


「颯太、あたしが作ったおかゆ、全部食べてくれたの!?」


「ああ。だって、自分の好きな奴が、自分のために一生懸命作ってくれたんだから…そんなの当たり前だろ?」


颯太…。何だかんだ言って、こうして全部食べてくれるなんて。やっぱり優しい。


「愛莉、おかゆ…ありがとな」

「どっ、どういたしまして」


颯太にお礼を言われて、胸が段々じわじわと温かくなっていくのが分かる。


自分が作った料理を、誰かに食べてもらえるのって、こんなにも嬉しいものなんだね。



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