ストロベリーライフ(来孵)
ぼくは葛之森を案内してもらい、あの絶滅種のこれからについてあれこれ話した。

葛之森ではあの絶滅種に関しては公表しないそうだ。

一匹では繁殖できないし、どちらにしても絶滅はまねがれない。
また、この事実が公になればあの新しい命はコレクターの標的になるだろうし、政府も標本対象としてしか扱わないとの事だった。

葛之森は生き物の命を第一に考えて、生き物と共に生きて来た家だ。

結局、ぼくが飼うことにした。
家族がふえるのはうれしい事だ。

卵から出てきのは、赤い翼とながいしっぽ、つぶらな瞳の小さな(それでも全長1.5メートルはある)ストロベリードラゴンだ。
とても甘い香りがする。
宝石のような真っ赤な肌には粒々がうかんでいる。

はじめて見たものを親と思うのは卵生の特徴だ。
ぼくの後をヨチヨチついてくる。
かわいい。
「クワァー、クワァー」となく。
これもかわいい。

成長したら簡単な言葉ならおぼえるそうだ、さすがドラゴン賢い。

首の下をなぜるととてもうれしそうにゴロゴロ喉をならす。
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