時わたりatラブ(仮)
う~
やばい。
心臓がバクバクしてきた!!
ただ、姫様と話すだけなのに。
緊張しながらも、大通りを歩く。
先に沖田さんと駒野さんが歩いて池田屋で待ち合わせ、
後ろには十悟が若旦那を装いそろそろとついてくる。
翡翠はいないみたいだし
姫様とタイミングよく会えるといいんだけど。
それで、どう探ろう‥‥。
姫様の回りの状況をキャッチ出来れば任務成功。
容易いけど、口達者じゃないと!
「おおきに~またお越しやす。」
その声にはっとして下を向いてた顔を上げる。
そこには、池田屋と書かれた看板
回りをみれば、なんか浪士が多い気がする。
やっぱり、アジトってのは本当らしい。
そして、沖田さんと駒野さんは池田屋の裏口にまわるべく別の方向に行ってしまう。
よし!
やるしかない!
ら「すみませーん。」
声を低く、男らしい仕草で
ガラッ
戸を開けて中に入る。
目の前には時代劇でお馴染みの大階段。
歴史好きだったから、感動!
「はーい!」
あれ?
この声‥‥、聞き覚えがある。
もしかして、
もしかして!?
「いらっしゃ‥、おいでやす!」
タタタ
廊下を小走りに
「あっ!あなたは‥。」
驚いた顔をする彼女。
ら「今晩は、来てみましたよ。
いちさん。」
見覚えのある高そうな銀色の簪に明るい着物、鈴を転がしたような可愛い声。
そう彼女は「いちさん」こと糸姫様
ラッキー!
来てすぐに会えるなんて。
「蘭之助さん‥でしたよね!
わぁ、まさか来てくださるとは思ってなかったものですから。
嬉しいです!」
ら「突然来ては迷惑かと思ったんですが訪ねてみようと。」
「そんな、迷惑だなんて。
でも、わたくし‥うち
家事も接待もまだまだで、お恥ずかしいなって。」
さっきから頑張って丁寧語直そうとして京都弁とかしゃべってるけど‥。
高貴な感じとか、もうひしひしと伝わってくるよ!?
「蘭之助さまは今日どうなさるんですか?」
「あぁ、駒野という芸子さんと仲間と飲むんです。
そういえば、いちさんはどこに住んでるんですか?」
「私ですか?
えっと、色んな女性と住んでるんです。
ほら、慣れない所でしょう?
道に迷ってるのを助けていただいた繋がりで。」
「へぇ、女性たちですか。
芸子さんの置屋とかですか?」
「いえ!
なんと言えばたいいんでしょうか。
結婚なさってるかたが大半の、でも夫が仕事でなかなか帰ってこないっていうことで、大きな長屋で生活してるんです。
そこに住んいます。」
「そうですか!
賑やかそうですね。」
「はい!
楽しい方達ばかりで‥‥。って、申し訳ありません。立ち話していましたね。今すぐ、案内します!」