時わたりatラブ(仮)
そして
すっかり寒くなり秋が終った頃
ついに明日
鳥羽伏見に陣を構える。
私は明日の戦に備えて自室で身仕度をしていた。
もてられる程度に包帯や軟膏、消毒のためのお酒。
不思議と緊張はしていなくて、でも漠然とした不安がある。
特別隊としての活動もはじめてだし、長期間に及ぶいで戦も初参戦。
みんなの仲を深めて結束を強めたりと出来る限りのことはしたからきっと平気だよね?
私は新撰組の未来を変えたい。
仲間がみんな死んでいってしまう、それを阻止しなくちゃいけないんだ。
歴史はほんの少しずつだけど、変わってる。存在しちゃいけない私が此処にいるんだし、沖田さんの結婚も。
だから、同じように新撰組の未来もあるって信じよう。
「なぁ、らんちゃんいる?」
外からすみれちゃんの声。
ら「うん。どうぞ。」
「あんな、相談したいことがあって。」
いつもの笑顔はなくて深刻そうにうつ向いている。
ら「どうしたの?」
「私、どないしたらええんやろ?
旦那様が戦にいくなんてよくあることやろ?そやけど、今回はすごい不安ばっかや。
旦那様は、どないなことがあってもいっつも笑顔でいてはるのに、私は‥。」
「きっと笑って明日、見送る事ができない、きっと泣いてまう‥。
そしたら、旦那様、優しいよって戦に集中できひんやろ‥。なぁ、私どうすればええ?」
そっか‥。
すみれちゃんも奥さんになったんだもんね。いつの間にか総司、から旦那様に呼び掛か変わってるし。
私より年下なのに私よりしっかりしてるや。
ら「それなら、泣いてもいいと思うよ。無理して笑っても沖田さん逆に不安になると思う。だからといって特別に接しないで普段通りに見送るのが一番だもん。
それに絶対沖田さんは死なせないから安心して?」
「本当?私、お嫁さん失格や、なんて思うてたさかい。」
ら「そんなことない!
すみれちゃんは立派なお嫁さんだよ。」
「そうですよ。」
「旦那様?」
完全に気配を消してたな‥
全然気付かなかった。
沖「此処にいたんですか。
探したんですよ、お団子でも食べようと思ったのに。」
「へぇ。
もしかして、今の話ぜーんぶ?」
沖「うん。バッチリとね。」
「嘘‥!恥ずかしい‥!」
沖「そんなに思いつめないでよ。いつも通りのすみれでいいのに。
それと、旦那様なんて呼ばないでほしいのにな。」
「へぇ?なんでどす?
おなごは男はんを呼び捨てにすることはあかんのやおへんか?」
沖「まえのままで総司がいいんだよ。その方がしっくりくるし‥。
ね?らんさん。」
ら「はい!」
「そうどすか。
なんや、自分が阿呆らしゅうなってきた!おおきに、総司!
じゃあ、お団子食べにいきまへんか?」
愛嬌のある笑みにぱっとなる。
なんか、単純というか、素直というか‥。
でも良かった!!
沖「うん、やっぱりそうこなくては。
らんさん、お騒がせしました。」
「堪忍え。お団子買ってくるさかい許したってな?」
ら「いえいえ。二人ともいってらっしゃい。楽しんで下さいね♪」