時わたりatラブ(仮)


ら「近くてよかった。」

なんとか誰にも会わずに奉行所に戻れた。

もう袴とかは仕方ないから、とにかく顔だけ洗おう。

ら「冷た…。」


冬の水は冷たくてはっと目が覚める感覚がした。こんな事してる場合じゃない。

錦の御旗が挙がったらあっという間に逆賊になってしまう。
それまでに、やれる事をしなきゃ。


土「らん?」

ら「土方。」


後ろから声がかかって振り向くと軍羽織を着た土方。

ら「これから行くの?」

土「あぁ。

今の所戦況はこっちが有利だ。ひとまず安心と言ったところか。」

ら「よかった!」

自然と笑みがこぼれる。

土「お前、怪我してるわけじゃねぇよな?」

ら「うん。平気。」


土方はすぐにいつもの顔になったけど、一瞬戸惑った顔をしたのがばればれ。

土「じゃあ、特別隊に命令だ。」

ら「分かった。」

土「これを会津藩の容保侯に。俺と近藤さんは指揮でいけねぇ。だから、これを必ず渡してほしいんだ。」

密書なのかな?

手紙を大事そうに手渡されて私も丁寧に懐にしまう。


土「らん。俺達はきっと勝てる。」

ら「へ?いきなり?」

土「あぁ。多分、そんな気がするんだ。」


にやり、と土方が笑う。

これは上手くいった、という合図の時の顔。


ら「楽しみにしてる。」





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