時わたりatラブ(仮)













ら「お願いします。」




高「あぁ、頼む。」






稽古終わりの奇兵隊をかき分けて、高杉さんと道場で向き合う。




身長はあんまり変わらないけど、筋力で劣っているのも分かる。



どうしようか…




野次馬の存在が気にならないほど集中して





隙を突く…、いや、先手を打つか。



ジリジリと間合いを詰める。







その瞬間




だんっ


という大きな音と共に痺れを切らした高杉さんが突きを繰り出してきた。


後ろに体重をかけて避ける。



いまの一発でわかる、


この人、女だからって容赦はしない人だ。





なんだかんだ新撰組のみんなは私に手加減して怪我をしない程度にやってくれて
結局私が怒って本気やっとを出す、って感じだけど…。






ら「やああっ!」




突きを出して体勢を崩した高杉さんの面を狙うと



高杉さんはそれを避けて、






ら「…!!」






横腹を狙われ、それを横に飛んでかわすと後ろに回りこみ




竹刀を片手に持ち替えて後ろから体当たりを食らわせた。






再びだんっという音が聞こえて






面が外れかかった高杉さんにわたしが馬乗りになってるみたいになる。







高「新撰組の…実践重視の剣か。」





ふっと笑うと




ら「えっ!」





一瞬にしてわたしが天井を見上げる状態になり、首筋に竹刀が当てられてる。






高「油断は禁物だろ?」





にんまりと悪戯っ児のような笑みを浮かべる高杉さん。





ら「えええええっ!!

私の勝ちじゃなくて!?」





高「そりゃあそうだろ、竹刀で止めささなかったろ?」




ら「まじか…勝てそうだったのに〜!」





私の悔しい声は




おおおお!!


すげえええ!




という歓声にすっかり消された。
















面を外すと



嬉しそうな高杉さんが目に入る。







ら「ムカつきますね、なんか。」



高「女に負けたかァねぇからな。」



ら「今度は勝ちます!」



高「どうだかなぁ〜。まぁお前の剣の腕は流石新撰組、って感じだな。」



ら「ありがとうございます。」






棒読みで言うとまたクッと喉を鳴らすように笑われる。




なんだろう、ちょっと土方に似てるかんじがするなぁ…。










ら「ふぅ…。」






手ぬぐいで顔を拭いてると









高「おい、茶でも飲みに行くぞ。」




ら「は、はい!」








防具をもって野次馬を掻き分けて高杉さんに着いて行く。







「女中なのに、あの腕前…只者じゃなか。」



「高杉さんの恋仲か!?」



「いや〜、どっかで見たことあると思うんだけどな。」











ギクッ






やばいやばいやばい。





新撰組から来たってバレたらどうなることか…。









高杉さんは気にしてないみたいだけど、


度重なる戦で長州と新撰組が徹底的に敵対していたし、新撰組と聞くだけでわたしを殺したい人なんて掃いて捨てる程いる。















































< 363 / 379 >

この作品をシェア

pagetop