鈴芽 ~幸せのカタチ~
ゆっくりと目を開けると、
見たこともない天井だった。

体が重い。動かない。

左手だけ妙にあたたかい。

目線だけ左にやると誰かが私の手を
握り締めたまま眠っている。

イチロー?

声が出ない。

イチローが目の前にいる。

イチロー?起きて。声が出ないの。

お願い。起きて。

だんだん指先が動くようになった。

必死に握られている左手を動かす。

『んっ。』

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