鈴芽 ~幸せのカタチ~
『真剣?
結婚でもするというのか?』

『ゆくゆくは…。
スズメさんさえよければと
私は思っています。』

『残念だが賛成はできないね。
娘が苦労するのが目に見えてる。』

確かにその通りかもしれないが、
イチローはここで引くわけにはいかなかった。

『おっしゃることはわかります。
でもスズメさんと二人でがんばろうと
話し合っています。

本当に僕たちは真剣なんです。』

『とにかく、今日はもう帰ってくれ。』

父はそれ以上聞こうとしなかった。

『わかりました。
今日のところは失礼します。
またきちんと挨拶に
伺いたいと思います。』

イチローはもう一度深々と頭を下げ、
その場から立ち去った。
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