鈴芽 ~幸せのカタチ~
私は長い間眠っていたので、
体もすぐには動かすことができなかった。

普通に会話するのにも
時間がかかってしまった。

そして、目が覚めて以来
一度もイチローは来てくれていない。

『お父さん。』

『ん?どうした?』

『私が目が覚めたときに居てくれた人、
彼に何か言った?』

父は背中を向けたまま答えた。

『何かって?』

『彼と付き合っているの。

彼、バツイチなんだけど、とってもいい人なの。

本当に好きになった人なの。』

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