鈴芽 ~幸せのカタチ~
濡れた手のまま帰ってくると、やっぱりオジサンは返したばかりのハンカチを差し出してきた。

『すみません。』

『それにしてもよくフンをかけられる奴だな。』
『ほっといてくださいよ。今日だって半分はオジサンのせいですからね。』

『えぇ?俺?』

ハハっと笑う笑顔はもぅいつもの力無げなものに戻っていた。

あんなにかわいくやさしく笑うのに。

もう一度あの笑顔が見たいな。

オジサンの横顔をみて私はそう思っていた。
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