鈴芽 ~幸せのカタチ~
そのあと私たちは、たわいもない話を交わした。
お笑い芸人とか、最近の事件とか、音楽とか、血液型とか。

オジサンは最近のことには疎くて、いちいち話が止まったが、全然いやじゃなかった。

一から説明する私に

『へぇ〜』『ほぉ〜』
『あーそう?!』

きちんと反応してくれた。

その顔は終始穏やかで、話を聞いている間はじっと目をそらさず私のほうを見ていた。

オジサンが私を見ているのがわかったので、私は極力正面を向いたまま話した。

それでも話し終えてチラッと横を見ると、間近でオジサンと目があって自分でも驚くほど胸がドキドキした。
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