鈴芽 ~幸せのカタチ~
『倒産って…。』

『20代半ばで、連れと二人で会社を立ち上げたんだ。

毎日毎日朝から晩まで、家庭なんて顧みないで働いてたよ。

仕事が楽しくて、なんとか順調に進んで会社も大きくなっていった。

でもある企画をきっかけに、連れと意見が合わなくなってきた。

それでとうとう連れが、独立したんだ。
水面下でみんなを引き連れてね。

あとはもう一瞬だったよ。』

『ひどい…。』

『最初は恨んだけど、結局誰も俺を選ばなかったってことだよ。

情けなくて悔しくて、荒れまくって家族にあたった。

独りになって、今までの自分を省みて、やっとやり直そうって思えるようになった。

なかなか仕事が見つからなくて早速つまづいてるけどな。』
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